身近な皮膚疾患のご紹介
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アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎とは、かゆみのある湿疹が身体にできて、症状が良くなったり悪くなったりと繰り返しながら続く、強いかゆみを伴う疾患です。かゆみの症状がひどいため、寝不足や集中力の低下・症状が出た時の精神的負担など日常生活に支障をきたすこともあります。
アトピー性皮膚炎の治療は、スキンケア・アレルギー反応の抑制・炎症の抑制を目的として、個人の状態にあった治療を行います。
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水虫(白癬菌)
一般的に呼ばれる「水虫」というのは、白癬菌というカビの感染症です。足だけでなく髪や爪にも感染することもあります。抗真菌剤などの薬による治療を的確に行うことで完治する皮膚病です。
しかし、「足がかゆい」「皮膚がふやけている」など、水虫と似た症状の皮膚病は多数あります。検査を行わず市販の薬を使ってしまうと悪化する可能性もありますので、原因がはっきりした上で治療を行うことが大切です。
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じんましん(蕁麻疹)
じんましんとは、さまざまな原因で真皮にあるマスト細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されることにより、腫れやかゆみを起こした状態のことを指します。
一般的には食事をはじめとして、薬物・ハウスダスト・ダニ・カビ・温度変化・日光・機械的刺激・ウイルス感染・ストレスなど様々な要因が関係しています。現状では、検査しても原因不明のことも多いです。また、アナフィラキシーショックと呼ばれる重篤なアレルギー反応として現れることもあります。これは命に関わることもあるため、早急に医療機関を受診して迅速な対応が求められます。
じんましんの治療は抗ヒスタミン剤・抗アレルギー剤などの飲み薬を中心に、かゆみを抑えるための塗り薬などを併用して行います。
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いぼ・水いぼ
いぼ・水いぼは、皮膚のウイルス感染や、加齢により生じます。全身どこにでもでき、大人も子供もできますが、水いぼはお子様に多い病気です。治療では、液体窒素療法・いぼ焼灼法のほか、内服、外用薬などを併用することもあります。
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帯状疱疹(たいじょうほうしん)
帯状疱疹とは、水痘・帯状疱疹ウイルスというヘルペスウイルスの一種が引き起こす皮膚の病気のことで、ウイルスの名前からも分かるように、みずぼうそう(水痘)の原因ウイルスと同じです。幼少期にかかったみずぼうそうのウイルスが体内の神経節に潜伏しており、免疫力が低下した際などに、神経を通して皮膚に赤みをおびた水疱が、体のある一部に帯状に現れます。強い神経痛が起こることもあります。50~70代がもっとも発症しやすいといわれますが、年齢に関係なく、みずぼうそうにかかった人であれば発症します。最近ではワクチンもありますので、ご相談ください。
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乾癬(かんせん)
「かんせん」という名前から「人から人にうつる」と誤解されやすいのですが、他の人に感染する病気ではありません。皮膚が赤くなる(紅斑(こうはん))、皮膚が盛り上がる(浸潤・肥厚(しんじゅん・ひこう))、銀白色のフケのようなもの(鱗屑(りんせつ))が付着しはがれ落ちるなどの症状がみられます。乾癬による発疹は全身に出ますが、皮膚がこすれる場所(肘・膝・腰のまわり・頭)に特に出やすいという特徴があります。「尋常性乾癬」「関節症性乾癬」「乾癬性紅皮症」「膿疱性乾癬」の4つに分けられ、多くの患者さまが「尋常性乾癬」といわれています。
飲み薬、塗り薬、光線療法で治療していきます。
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にきび(尋常性ざ瘡)
にきびは、毛穴のつまりである面皰に菌が感染して赤くなったり膿んだりするものです。思春期は皮脂腺分泌が多いのでニキビができやすくなります。また成人のにきびも増えておりストレスなどでホルモンバランスが乱れたり、化粧や間違ったスキンケアを行うことで悪化したりします。近年ニキビの外用薬が進化してとても良い薬がたくさん出ました。毛穴のつまりをなくしたり、菌を抑制したりする塗り薬などです。ニキビ治療で一番大事なことは、ニキビ跡を残さないことなので早めの治療が重要です。早期のにきびでも早めに皮膚科に受診して綺麗な肌を目指しましょう。
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単純ヘルペス
唇や鼻の近く、お尻や陰部の神経の根元に潜んでいたヘルペスウイルスが体調不良などで皮膚の免疫力が落ちたときに皮膚の表面に小さな痛みを伴う水ぶくれを作ります。帯状疱疹とは違い、単純ヘルペスは何度も繰り返す点が特徴です。塗り薬、飲み薬による治療になります。
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とびひ(伝染性膿痂疹)
あせも・虫刺され・湿疹などをひっかいたり、転んでできた傷に感染を起してとびひになります。治療は抗菌薬の内服や外用、かゆみ止めの内服を行います。毎日入浴し、皮膚を清潔にしましょう。しっかり手洗いをし、爪を短く切り、かきむしって皮膚を傷つけたりしないようにさせることも大切です。
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あせも
首の周りやわきの下、下着で締め付けのある部分など、汗をかきやすくムレやすい部位に、赤みをもった小さなポツポツが急速に現れます。衣服や室温を調整し、涼しい環境で過ごすようにしましょう。また、シャワーをこまめに浴びるなど、皮膚を清潔に保つようにすることも大切です。症状が改善されない場合は、受診をお勧めします。皮膚を掻くことで細菌感染が起こり、とびひなどに進展することがあるため、掻かないようにすることが大切です。
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ウイルス性いぼ(尋常性疣贅)
ヒトパピローマウイルスの感染による皮膚の感染症です。人から人へ、また自分の皮膚の別の場所にうつります。プールや入浴時の接触や、学校や会社のパソコンのキーボードなど共用の器具を介する間接的な接触でも感染します。ヒト乳頭腫ウイルスにはたくさんの種類があり、イボの形や性質、できやすい部位などに違いがあります。
いぼの治療は、液体窒素による冷凍凝固療法が主体です。しかし、場所や形態に応じて、漢方薬(ヨクイニン)の内服や、活性型ビタミンD3のODT(密閉療法)やスピール膏貼付、トリクロロ酢酸塗布、電気メスによる焼灼、内服の漢方薬ハトムギの成分であるヨクイニン内服などを行うことがあります。